The Book―jojo’s bizarre adventure 4th another day
乙一 × 荒木飛呂彦
……あぁ、面白かった。
充実した時間だった。
私は漫画のノベライズというものは今まで読んだ事が無かった。
それはオリジナルに敵うはずがないじゃないかという傲慢な考え方が頭のどこかにあったせいかもしれない。
だけど、敵うとか、敵わないとか、そもそもそれが間違っていた。
不覚としか言いようが無い。
ノベライズとオリジナルでは、確かに色々と違うところがある。
だけどそんなものは些細なものだ。
要はどれだけその本に、執筆者の想いが込められているかどうかって問題に行き着くんだと思う。
そしてその先に、面白いかどうかという問題に突き当たる。
そこにノベライズやオリジナルの差異など皆無だろう。
妥協や諦観で良い本は生み出されない。
どれだけ作品に敬意を表することが出来るのか。
どれだけ作品に想いを寄せることが出来るのか。
どれだけ作品に時間を捧げることが出来るのか。
乙一さんは原稿用紙400枚分を書いては気に入らないと没にする事を繰り返したらしい。
その結果、二千枚以上を没にしたという。
そしてこの作品は、五年という歳月をかけて完成された。
その作品は、見事に洗練され、完成されていた。
ジョジョの世界を文字という媒体で、完全に呑み込んでいた。
ジョジョならではの伏線が散りばめられた肉体的知能戦にも驚かされた。
まるで荒木さんがその場面を描いているかのように、脳裏にその情景が浮かび上がってきたからだ。
本当に、時間を忘れて貪り読んだ。
いや、むしろ貪り読まされたと言ったほうがいいような気がする。
特に、続きが気になる場面でも、盛り上がりを見せるような場面でもないところでも、ページを繰る手が止まらなかった。
乙一さんのスタンド能力じゃないだろうなあと訝んだほどだ。
これは間違いなくジョジョです。
荒木さんと乙一さんが混じり合って生まれたジョジョです。
第四部ジョジョの外伝にあたる物語と言えましょう。
ジョジョファンは必見ですよ。
私はこの作品が大好きです。
P.S
コチラで試し読みが可能です。
ほんの少しだけですので、正直これでこの本にのめりこめるかどうかは分かりせんが……参考程度に一度足を運んでみてはいかがでしょう。
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