※今回は、多少のネタバレを含みます。
けれどもこの作品を楽しむにあたり、さほど問題にはならないと思うので是非読んでほしいです。
また、もう既読だよ!って人も読んでみてください、そしてどんなものだったのか、興奮を思い出してください。
そして、共有しましょうこの想い! コメント大歓迎!
砂漠
伊坂幸太郎
数々の比喩を用い言葉遊びを展開させる伊坂幸太郎さん。
今回も見事にやられました。
あなたのことが大好きです。
この作品を語るにあたり、絶対に外せない登場人物が西嶋だろう。
「誰一人だって外せないよ」という声もあるかもしれないが、西島という人物を思い出すとこれも仕方の無い事だと思う。
彼ほどの強烈な個性を見せ付けられて、魅せられてしまった私は彼を思わずにはいられない。
始まりは冒頭部分の居酒屋から始まる自己紹介からだった。
それは最早自己紹介から遠くかけはなれ、アメリカの横暴を静観して黙っているなと、つまりはまあそんな内容でした。
その最後の締めに、こう言ったんです。
自信をみなぎらせ、明晰に断言したんです。
「あのね、俺達がその気になればね」
「砂漠に雪を降らすことだって、余裕でできるんですよ」
それはつまり、なんだって出来るんだってことを言いたかったんでしょう。
ハートにずどんときましたね。
しかしですね、この作品内では三島由紀夫さんの事についても触れられていました。
三島由紀夫さん、ご存知でしょうか。
私は名前だけは知ってましたが、この人がどういう人だったのかはこの作品で初めて知りました。
その内容は軽くしか触れられていませんでしたが、それだけで興味を持つ引き鉄となるには十分な理由でした。
そんなわけで、Wikipediaで調べてみました。軽く。
要するに、その人は憂えていたんでしょうね。日本を。
そしてどうにかしたいと思ったんです。
確固とした断固たる決意をもって、俺が日本を変えてやると。
それで、行動を起こすんです。
偉い人を人質にとり、幾人かの人と交戦し、篭城し、自衛官とマスコミに三十分間演説させるよう要求したんです。
結果、それは通りました。させてくれるってことになったんです。
それで三島由紀夫さんは演説に向かいました。
しかし、待ち受けていたものは「三島ーっ、頭を冷やせー!」「何考えてんだ、バカヤローっ!」などの野次。
それだけでは無く、「昼食の時間なのに食事ができない」などという不満も出てくる始末。
また報道ヘリコプターの音がうるさく七分で切り上げられたということです。
そして、三島由紀夫さんは想いが伝わらなかったという無念さと共に、切腹をしました。
どうでしょうこれ。
彼の意見を受け入れろってつもりは毛頭ありませんが、これは文字通り命を懸けての演説だったわけです。
人質を取った際にも、要求を受け入れられなければ人質を殺して切腹すると言っていたのです。
決意と覚悟は本物なわけです。
その行い自体はどう気休めに考えてもアウトなわけですが、それでも、それでもですよ。
それだけの覚悟を伴って行った演説が、昼食の欲求に負けているんですよ。
真面目に聞こうともせず、そんな事を言われるんですよ。伝わらないんですよ。
つまりは、砂漠に雪を降らせなかったってことなんですよ。
決死の覚悟で想いを託そうとする人間の言葉が、無碍にされているわけですよ。
伝わらないんですよ。
伝わって、その上で受け入れられないのならば仕方が無いと思うのですが、一切合財伝わっていないんですよ。聞く耳を持ってもらえないんですよ。既存の観念に囚われて、新しい考えにまったく耳を傾けようとしないんですよ。
私も、もしそこに自衛隊の一員としてそこにいれば、同じ様な冷ややかな目で眺めていたのかもしれません。
だけれども、私は今そんな立場じゃない。
だからこそ、言いたい。
この作品を読んだからこそ、声高々に言ってやりたい。
「あのね、俺達がその気になればね」
「砂漠に雪を降らすことだって、余裕でできるんですよ」
って。
また、西嶋はこんなことも言っていました。
世界中で起こる戦争をニュースで見て、なんの感慨も無く静観するのではなく、悶えるように見ろ、と。
何事も我関せずで済ますのではなく、心ぐらい痛めろよ、そしてあわよくば行動せよと、そういう事なんでしょう。(そんな彼はしょうもない事ばかりしているわけですが)(まあそんなところも大好きですが)
これは人によって色々と言いたい事があるでしょうが、私は大好きですその考え。
大いに共感しました。
まだまだあります。
彼は、たまたまとある動物管理センターの飼い主募集の欄を見たんですよ。
その最後のほうに居たシェパードがですね、保護期間がちょうどその日までだったんですよ。
保護期間が過ぎれば……どうなるかはお分かりでしょう。
彼は躊躇い無く引き取りました。
自分のところでは飼えないというのに、何の躊躇いも無く引き取りに行きました。
友人は、君はこれから先、保護期間が過ぎそうになった犬を全部ひきとるつもりなのか? と呆れながら言います。
そしたらですよ、そんなわけないじゃないですか、とこれまた簡単に断言するんですよ。
そしてその後に、
「ただ今回は、たまたま、見ちゃったからね」
って。
これもまた、人によっては言いたいことは沢山あるでしょう。
だけど私は大好きです。
何も助けずに見切るのと、一つだけでも助けてから見切るのでは、やはり後者のほうがいいじゃないかよって思わざるを得ないです。
ああ、語りだすと止まらない。
大好き過ぎる。
この本は、本当に、心の底からみんなに読んでほしいです。
私はこの作品が大好きだぁーッ!
いまさらなコメントですが
Re:いまさらなコメントですが
無題
Re:無題
無題
無題
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