荒川アンダーザブリッジ
中村 光
面白い。すっごい面白い。
ギャグというものは、詰まるところセンスだと思うわけですよ。
その人が持っている、元々の「センス」
人真似ばかりでは、ギャグの世界では生き残ってはいけない。(ような気がする)
それだと、どうしたって二番煎じ風味が消えず、色褪せたものになってしまうからです。
しかし、なにも人真似が悪いわけではない。
むしろ良い事である。
良いところはどんどん吸収した方が良いのだから、「人真似」の精神というのも、忘れてはいけない大事な要素だと思う。
しかし、それだけで終わってしまうと、なんともならなくなる。
評価されない。
読者が求めるものは、「誰かが書いた事のあるようなモノ」では無く、まだ見た事も無いような、「その人にしか書けないモノ」なのであるから。
(とは言え、どこかで見た事があるような作品でも、面白いものは面白いわけなんですけどね)
だから、ここでセンスが出てくる。
先達の良い所を吸収し、それを己の「センス」を以て自分の作品に仕立てあげる。
当たり前の事でありながら、この手法で己の世界をつくりあげることの出来る人というのは稀だと思う。
そして、この中村光さまはそれが出来るお人である。たまらなく大好きだ。
まさにセンスの塊と言える。いや、むしろセンスで書いてある漫画とも言える。
ギャグの作り方が、素晴らしすぎて面白すぎる。
また、特筆すべきはその登場人物。
個性的という言葉で終わらせるにはいかんともしがたいほど魅力的なお人たち。
さっき読んだばかりの第六巻には、尋常ならざるカッコヨサをその身に宿した「鳥」なんかも出てきましたしね。あまりにかっこよすぎて笑えて来たほどです。
ほかにも星やら、河童やら。残虐ドS牧場主さんとか、戦場カメラマンならぬ戦場シスターとか、……ああ! そうだ! 六巻にあった名肩書きを引用させてもらうことにしましょう。きっとそっちのが分かりやすい。
―――…曰く、
「荒川の死兆星」
「エメラルドの闘神」
「聖なる核弾頭」
「しくじり女王」
「逆刃の美容師」
「暴虐の眠り姫」
「毒舌絨毯爆撃機」
これがある七名のそれぞれの肩書きです。(六巻における、ある場面での)
どうでしょう、いかに個性派か分かることでしょう。
しかも、こやつらはまだ氷山の一角に過ぎない……というのは、少々言い過ぎですが、荒川の住人がまだまだいるという事に違いはありません。
一見の価値ありです。
私はこの作品が大好きだー!
はじめまして
はじめまして!
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