久しぶりに血が滾る漫画を読んだ。
漫画を読んでこんなに興奮したのは本当に久しぶりだ。
男くせえ漫画が好きって人には、超絶的な自信をもってこの作品を勧めよう。
『 ヤマト猛る 』
「センゴク」という武将漫画を描いておられる宮下英樹先生による作品である。
このモノガタリは「相撲」が主軸となっております。
日本の国技、相撲。
私はこの格闘技にまるで興味をもっていなかったため、どの様なものなのか曖昧にしか知りませんでした。
しかしこの作品を楽しむ上でそれぐらいのことは瑣末にしか過ぎません。
……閲覧者諸賢、あなた達は一体どのような時に興奮しますか?
もし……小柄な力士がお前にゃ無理だ勝てっこねえと言われ続けながらも諦めることなく孤軍奮闘努力を重ね、巨大なライバル達に挑み続けるというシチュエーションに興奮するならば……是非見るべきです。
期待を裏切るこたあ、ないでしょう。
私はこの作品が大好きです。
漂流教室
楳図 かずお
すごかったー。
この作品は本当に凄まじいものがあった。
今の漫画界からは決して生まれでない怪作と言えよう。
この作品は尋常ならざるパワーを持っている。
気付いた時には心を引き摺り込まれてしまっていた。
ありえない状況が次々と巻き起こり、思わずおいおいと笑ってしまうような描写まであるというのに、なんなんだろうかこのリアリティは。
いくらなんでもそれは無いだろうと言いたくなるような場面でさえ、ぞわぞわと背中を這ってくるような、寒気にも似たリアリティを感じてしまう。
最初はホラーちっくな描写や、小説風な独特の語りだし、そして作品そのものの時代のズレというもので、少々の戸惑いがあり取っ付きにくい感じもあったのだが、それも一巻を読み終える頃にはすっかりなくなっていた。
この作品は今一度、世に出てもいいと思う。
今、人類が抱えている大きな問題である環境汚染について、深く問いかけてくるものがあるからだ。
この作品の様になってからでは遅い、そう思わせてくれる。
……環境汚染について、考えている人間なんて一体どれだけいるのだろう。
この作品は、その問題について考えるためのキッカケとなりえる作品である。
一つ目様が来てからでは遅いのだ。
そして、それとはまた別に、素晴らしい親子愛も描かれている。
正直、この作品にここまで感動させられるとは思っていなかった。
読めば分かると思うけれど、お母さんがトランシーバーを通じて主人公の高松君に言葉を通わせたときには、もう目頭が熱くなりましたね。
涙腺はかなり硬いほうなのですが、やられてしまいました。
この場面のためだけに読んでもいいと思えるほどです。
ああ、一気に読んだので少々疲れました。
お腹一杯です。
私はこの作品が、大好きです。
荒川アンダーザブリッジ
中村 光
面白い。すっごい面白い。
ギャグというものは、詰まるところセンスだと思うわけですよ。
その人が持っている、元々の「センス」
人真似ばかりでは、ギャグの世界では生き残ってはいけない。(ような気がする)
それだと、どうしたって二番煎じ風味が消えず、色褪せたものになってしまうからです。
しかし、なにも人真似が悪いわけではない。
むしろ良い事である。
良いところはどんどん吸収した方が良いのだから、「人真似」の精神というのも、忘れてはいけない大事な要素だと思う。
しかし、それだけで終わってしまうと、なんともならなくなる。
評価されない。
読者が求めるものは、「誰かが書いた事のあるようなモノ」では無く、まだ見た事も無いような、「その人にしか書けないモノ」なのであるから。
(とは言え、どこかで見た事があるような作品でも、面白いものは面白いわけなんですけどね)
だから、ここでセンスが出てくる。
先達の良い所を吸収し、それを己の「センス」を以て自分の作品に仕立てあげる。
当たり前の事でありながら、この手法で己の世界をつくりあげることの出来る人というのは稀だと思う。
そして、この中村光さまはそれが出来るお人である。たまらなく大好きだ。
まさにセンスの塊と言える。いや、むしろセンスで書いてある漫画とも言える。
ギャグの作り方が、素晴らしすぎて面白すぎる。
また、特筆すべきはその登場人物。
個性的という言葉で終わらせるにはいかんともしがたいほど魅力的なお人たち。
さっき読んだばかりの第六巻には、尋常ならざるカッコヨサをその身に宿した「鳥」なんかも出てきましたしね。あまりにかっこよすぎて笑えて来たほどです。
ほかにも星やら、河童やら。残虐ドS牧場主さんとか、戦場カメラマンならぬ戦場シスターとか、……ああ! そうだ! 六巻にあった名肩書きを引用させてもらうことにしましょう。きっとそっちのが分かりやすい。
―――…曰く、
「荒川の死兆星」
「エメラルドの闘神」
「聖なる核弾頭」
「しくじり女王」
「逆刃の美容師」
「暴虐の眠り姫」
「毒舌絨毯爆撃機」
これがある七名のそれぞれの肩書きです。(六巻における、ある場面での)
どうでしょう、いかに個性派か分かることでしょう。
しかも、こやつらはまだ氷山の一角に過ぎない……というのは、少々言い過ぎですが、荒川の住人がまだまだいるという事に違いはありません。
一見の価値ありです。
私はこの作品が大好きだー!
ARIA
天野 こずえ
癒しの、極地。
漫画とはこうあれかし、というお手本の様な存在だ。
それというのも、この漫画はありとあらゆる場面において完璧に道に沿って出来ているのである。
しかしその道というものがなんであるのか、はっきりとは分からない。
読者からしてみれば「癒し」だが、作者からしてみればおそらく、書きたいものを好きなように書いているだけなのだろうから、なんとも言えない。
しかし始まりから終わりまで迷い無く一直線に突き進んでいる。
そこには確固たるモノとして、明確な意思がある。
読者全てを「ほんわか」とさせるため、やわらかくも美しい画力をもって構成された世界に向けて、天野こずえ先生御自身特有のセンスをもってしか出来ない、超弩級「癒し」の鉄槌を振り下ろすのである。
私はあまりの癒し具合に脳死しそうになりました。
これ以上のヒーリング漫画はそうざらに無い。
もう、たまらない。
キュンキュンする事請け合いです。
自信を持ってお勧めします。
私はこの作品が、大好きだ!
ヴィンランド・サガ
幸村 誠
今から千年以上も昔のお話だ。
竜頭の船を操る民族が北ヨーロッパに存在した。
フランク語(古フランス語)で「北の民(ノルマンニ)」
イギリスでは「デーン人」
ビザンツ帝国では「ロス」「ルス」
後の世に、ヴァイキングと呼ばれる者である。
……ああもうッ!この時点で虜ですよ!
すっかり魅了されてしまう。
そして実際読んだらその百倍魅了されちゃうってんだからたまらない。
略奪を繰り返すヴァイキング。
規律を重んじる騎士団。
戦争が至上の喜びという凶戦士。
人の死というものが嫌になり、
戦場から逃げた戦鬼(トロル)と呼ばれた大隊長。
……父の仇討ちの為には、何をも省みない孤高の少年。
一瞬思い浮かべただけでこれだけの登場人物が湧いて出てくる!
それだけ個性的。それだけ印象深い。たまんないなこれ。
しかも、こいつらが絡み合って物語が紡がれるってんだから、もうこの上なくたまらない。
その威力はまさに掛け算。
描かれる戦場は躍動感に満ち溢れ、非常に高い完成度。
放たれる言葉は強く心を惹きつけられて、思わず鳥肌がたってしまう。
こいつを見ない手は無いですよほんと。
超面白いですから。
漫画界の最高峰に手をかけていると言っても過言ではない。
(独断と偏見だけど)
ちなみにあっしの中で最高峰にあると思っている漫画は以下。
(完全に趣味による独断と偏見)
まず第一にヘルシング。
いつかはレビュー(っていうだろうかこれ?)する予定。
正直これは私の聖書(バイブル)です。
次に、ベルセルク。
漫画の最終形態の一つなんじゃないの?って言いたくなるほどの完成度。
何この書き込みっていうぐらい書き込まれている。
凄すぎる。
上記とは全く毛色を異にするが、間違いなく最高峰にある作品はこれ。
ARIA
こいつはまさに癒しの極地。
ほんわかさせられること間違い無しです。
さて、今日はこんなところで終わりー。
彼女を守る51の方法
古屋 兎丸
地球がほんの気紛れ起こし、地表をちょちょいと揺らしてみれば、大都市東京致命的。
老若男女の区別無く、飢えに苦しみ病魔に怯え、生きる気力も萎えていく。
地震は人を建物ごと薙ぎ倒し、炎は東京ごと人を火葬する。
竜巻は人を埃の様に舞い上がらせ、ゴミ屑の様に地上に落とす。
更には暴力、泥棒、強姦と、無法の集団が跋扈する。
そんな中で、彼ら彼女らは一体どうするのだろうか。
生き抜くことが、出来るのだろうか。
『彼女を守る51の方法』
私はこの本が、大好きです。